解決事例

不動産関連事件について,これまでに取り扱った解決事例の一例をご紹介いたします。ご依頼者様のご意向やご要望に合わせて,最適な解決方法を一緒に見つけることを大切にしておりますので,お気軽にご相談ください。

事例1:交渉の結果,建物明渡に成功した(賃貸人側)

事案の概要

ご依頼者様が所有しているビルの一室に数年前、無償で住まわせてあげていた人物(A)がいました。ご依頼者様は、ほんの数か月身寄りのないAに寝泊まりする場所を提供するだけのつもりで貸したのですが、1年経っても一向にビルから出ていく気配がなく、賃料を支払ってほしいと申し出ても一切話を聞こうとしません。ご依頼者様としては、一刻も早くAに出ていってもらいたいとのことでした。

ご相談後の結果

弁護士が介入し、任意での明渡しを要請する文書を送付しましたが、受け取りを拒否し、話に応じる姿勢が見られませんでした。そこで、早々に訴訟提起することとしました。判決取得後、執行業者とともに明渡しの準備に取り掛かったところで、Aから接触があり、結局明渡断行日(実際に強制執行が行われる日)の1週間前に任意で退去することとなりました。そのため、高額な執行費用の支出を免れ、ご依頼者様も満足の様子でした。


事例2:早期に立退料の支払いを受けて明渡しを行った(居住用賃貸賃借人側)

事案の概要

借主様から立ち退きの申入れを受けているということでご相談がありました。昭和50年頃に新築された物件で家賃は月額6万円弱、平成10年頃から当該物件を賃借している物件でした。また、途中で普通賃貸借契約から定期借家契約に切り替えられている事案でもありました。借主様はオーナーから提示された立退料の金額に疑問があるようでした。

ご相談の結果

弁護士が介入をして、①平成12年3月1日以前に締結された居住用建物普通借家を定期借家へ切り替えることはできない旨(平成11年改正法附則3条)、②借地借家法28条により、建物賃貸借の解約申し入れに際しては「正当の事由」が必要であるところ、本件では「正当の事由」が認められないため、本件建物明渡しには理由がない旨を通知しました。その後、オーナーとの交渉の結果、立退料175万円他の支払いと引換えに立ち退きを行う合意が成立しました。受任後1ヶ月程度の期間で事件が終了し、依頼者の方にも満足していただけました。


事例3:区分所有法59条競売により滞納管理費の問題を解決した事例(マンション管理)

事案の概要

マンション管理組合の理事長の方からのご相談です。数年前から数百万円にものぼる多額の滞納管理費等が発生している居室があり、その対応に苦慮しているとのことでした。当該居室には抵当権が多数設定されていて、当該マンションは築年数も古く、価格がつかないような状況でした。滞納者もこちらの督促を無視し、一向に滞納金を支払う気配がありません。そのような中でどうにか滞納者を追い出し、毎月管理費等をきちんと徴収できる正常な状態に戻したいとのことで弁護士へ相談をしたとのことです。

ご相談の結果

本件のように管理費の滞納が長期にわたり、金額としても数百万円にのぼるような場合、管理費等請求訴訟を提起し、取得した判決に基づいて通常の不動産競売申立てを行いますと、無剰余取消(不動産の評価額以上の抵当権が設定されていたり、租税債権等優先債権がある場合に、無益執行にあたるとして競売手続が取り消されてしまうこと)の可能性があります。そこで、区分所有法59条による競売請求訴訟を提起し、取得した判決に基づいて区分所有法59条に基づく競売申立てを行うといった方法があります。この方法によれば無剰余取消を回避することができ、確実に競売手続を進めることができます。本件でも、この方法を用いて無事解決することができました。